震災で家を失って、人生が動き出した。

老い、介護、役割の喪失。
原発事故で帰れなくなった99歳の母と息子夫婦の、3年間の記録。

予告編サムネイル

ドキュメンタリー映画 『三角屋の交差点で』

2025年|日本|95分|5.1ch|DCP

監督:山田 徹

Story


東日本大震災と福島第一原発事故から6年。浪江町から避難を余儀なくされた一家は、故郷に戻るか、この地で生き直すかという答えの出ない問いを抱え続けている。

災害を機に長年の仕事を手放し、災害公営住宅で始まった生活は、家族の関係性にも静かな変化をもたらした。

99歳の母テツは、記憶が薄れゆく中でも故郷への想いを離さない。寡黙な息子タケマサは母を敬いながらも、介護の多くを妻シゲコに委ねている。役割を引き受けてきたシゲコは、家族の中で「当然」とされてきた立場や、自身の生き方を見つめ直し始める。

本作は、災害が奪ったものと、そこから生まれる問いを通して、「家」とは何かを静かに描き出す。


At the Triangle Intersection

A couple and the husband’s mother have been living away from the town of Namie in Fukushima Prefecture since they were evacuated after the nuclear accident. As they make the decision to build a new house, their feelings as husband and wife, parent and child, and daughter-in-law and mother-in-law intersect. The film depicts their emotional struggle to live as their true selves, amidst elderly caregiving of the elderly and complex family relationships—issues brought to the surface by the disaster.

©Toru Yamada / IMPLEO Inc.

ニュース


劇場情報


2026年4月よりロードショー。ポレポレ東中野、福島ほか全国で順次公開。

Director's Steitment


監督からのコメント

福島の原発事故で故郷を離れざるを得なかった高齢家族を、3年にわたり撮影するなかで、私は日本の地方に根強く残る封建制と、「嫁」という立場に課せられた無意識のケア労働の重みに向き合うことになりました。

災害は単なる外的被害だけでなく、家族内に潜む構造的な不均衡や社会的役割の脆さをあらわにします。かつて家を仕切ってきた姑・テツ。家業を継ぎ、家長としての立場を背負ってきた息子・タケマサ。そして「嫁の勤め」として沈黙を受け入れてきた茂子。それぞれが、喪失とともに役割を手放し、立ち尽くすなかで、どんな言葉を語り、あるいは語らないのか。

私はその沈黙の背後にある感情や関係性の継承に、カメラを向けました。

この映画は、老いとケア、役割の喪失と再構築という普遍的なテーマを、3人の静かな避難生活を通して描く試みです。変わりゆく社会のなかで、自分をどう選び直して生きていくのか。その問いに耳を澄ませるように、私は撮り続けました。(山田 徹)

Director's profile


山田 徹(やまだとおる)

山田 徹(やまだとおる)

フィルムメーカー。岩波映画出身で女性映画監督のパイオニアである羽田澄子監督に師事。原発事故が発生した2011年3月以降、福島をフィールドに映像制作を行なっている。『三角屋の交差点で』は「山形国際ドキュメンタリー映画祭ヤマガタラフカット!2019」、「山形ドキュメンタリー道場2025」の参加作品。

・『新地町の漁師たち』
第3回グリーンイメージ国際環境映像祭グランプリ(2016)

・『あいまいな喪失』(オムニバス映画『10年後のまなざし』)
山形国際ドキュメンタリー映画祭ともにあるCinema with Us 2021

・『三角屋の交差点で』
山形国際ドキュメンタリー映画祭ともにあるCinema with Us 2025
第17回座・高円寺ドキュメンタリー コンペティション部門入賞

 

Staff


監督・撮影:山田 徹
プロデューサー:加藤成子
編集:PHAM Thi Hao/山田 徹
整音:川上拓也
デザイン:北野亜弓(calamar LLC)
製作・配給:インプレオ

Editor's profile


PHAM Thi Hao

PHAM Thi Hao

ベトナムのインディペンデント・ドキュメンタリーの映画監督・編集者。2005年にホーチミン演劇映画大学を卒業。その後、ベトナムのアトリエ・ヴァラン(Ateliers Varan)およびフランスのラ・フェミス(La Fémis) でのWSを通じて、ドキュメンタリー映画制作の技術をさらに磨く。編集者としては、フィクションとドキュメンタリーの両分野で活動。アートハウス系のプロジェクトに取り組む新進監督たちの支援も行う。彼女の編集作品には、『Madam Phungʼs Last Journey』(2014)、『Another City』(2015)、 『Father & Son』(2017)、『Blessed Land』(2019)、『Glorious Pain』(2020)など、国際的に評価された映画が含まれる。2011年には、ベトナムにおけるインディペンデント・ドキュメンタリー映画制作を支援・発展させるため、「ヴァラン・ベトナム(Varan Vietnam)」を共同設立した。

配給・お問い合わせ


株式会社インプレオ IMPLEO Inc.